労働者のストレス(メンタルヘルス・マネジメント検定II種)

2015年のストレスチェック制度義務化など、メンタルヘルス対策への関心は年々高まっています。ここでは、厚生労働省の「労働安全衛生調査(2018年)」およびNHK放送文化研究所の調査データを基に、労働者が抱えるストレスの実態と、仕事に対する価値観の変化について解説します。

1. 労働者の約6割が「強いストレス」を抱えている

仕事や職業生活において「強いストレスを感じている」労働者は、全体の 58.0% に上ります。

属性別に見ると、女性(55.4%)よりも男性(59.9%)の方がやや高い割合を示しています。

また、就業形態別のデータでは、責任の重い正社員が最も高く、パートタイム労働者と比較して20ポイント以上の開きがあります。

【就業形態別のストレス感(高い順)】

  • 正社員:61.3%
  • 派遣労働者:59.4%
  • 契約社員:55.8%
  • パートタイム労働者:39.0%

2. ストレス要因の男女差:男性は「責任」、女性は「人間関係」

ストレスの原因となっている事柄をランキング形式で見ると、男女ともに「仕事の質・量」がトップですが、2位以下に明確な傾向の違いが見られます。

【主なストレス要因の比較】

順位全体男性女性
1位仕事の質・量仕事の質・量仕事の質・量
2位仕事の失敗・責任発生仕事の失敗・責任発生対人関係
3位対人関係対人関係仕事の失敗・責任発生
4位役割・地位の変化役割・地位の変化雇用の安定性
5位会社の将来性会社の将来性会社の将来性

<分析>

  • 男性の特徴: 「仕事の質・量」など、組織内での立場やキャリアに関する項目が上位を占めます。
  • 女性の特徴: 4位に「雇用の安定性」が入っているのが特徴的です。

3. 悩み相談の「相手」と「年齢による孤立」

メンタルヘルスケアにおいて重要な「相談体制」については、92.8%の人が「相談できる相手がいる」と回答しています。実際に相談した労働者は80.4%でした。ともに女性の方が多いという特徴があります。

【誰に相談しているか?】

  • 男性: 「上司・同僚(80.4%)」への相談が多い。
  • 女性: 「家族・友人(81.9%)」への相談が多い。

【注意すべき傾向】

年齢層が上がるにつれて、「相談相手がいる」と答える割合が徐々に低下する傾向が見られます。若年層に比べ、ベテラン層や管理職層が孤立しやすい可能性を示唆しており、注意が必要です。

4. 変容する仕事観:「ドライな関係」を好む傾向へ

NHK放送文化研究所の調査(5年ごとに実施)によると、日本人の仕事観は1970〜80年代を境に大きく転換しました。「仕事第一」の層が減り、「仕事と余暇の両立」を望む層が増加・定着しています。

【理想とする仕事の条件】

  1. 仲間と楽しく働ける仕事
  2. 健康を損なう懸念がない仕事
  3. 専門知識や特技を活かせる仕事
  4. 失業の不安がない仕事

【人間関係の希薄化】

興味深いのは職場の人間関係に対する意識です。「楽しく働きたい」という希望はあるものの、何でも相談し合う「全面的な付き合い」を望む割合は横ばいです。

一方で、「仕事に必要な範囲だけの付き合い(形式的な関係)」 を望む人が増えており、職場には適度な距離感を求める心理が浮き彫りになっています。

まとめ

データからは、多くの労働者が業務量や責任、人間関係に強いプレッシャーを感じている現状が見て取れます。また、労働者の意識は「生活との調和」や「適度な距離感」を重視する方向へシフトしています。

企業側には、こうした男女間の違いや年代別の孤立リスク、変化する労働者の価値観を踏まえた、柔軟な環境づくりが求められています。

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